ある薬を手に取った。
とても安価なものだ。
いつでも何度でも摂取できるし、身も心にも傷がつく心配などない。
とても安全なものだ。
私はその薬を手に取った。
……一度手放してみる。
薬は机の上に転がった。
今一度その薬をよく見てみる。
黄色と赤色の二色でもって彩られている、小さな小さなカプセル錠。
飲み込むに容易い。
もう一度薬を手に取った。
軽い。これが私に幸福をもたらしてくれる。
……薬を見つめた。
そして、喉奥に放り込む。
そう試みて、この手は口の中で止まった。
親指と小指の間に、薬は挟まれたままだ。
ゆっくりと腕を下ろす。
依然として、薬はこの手の中に収まったままだ。
“薬”を見つめた。
私はそのいくらかの空白を飲み込んだ、その後、やっと薬を机の上に転がすことができた。
私は大層満足して、ふかふかのベッドに倒れこんだ。
一日は、そうして終わった。
ふと気が付くと、薄暗い明りが窓際のカーテンから漏れている。朝らしい。けだるいが、ゆっくりと重い体を起こす。そうして目を開けてやると、机が見えた。そして、あの小さなカプセル錠だけが、頭の中を渦巻いている。
