誰かのVlogを見ていた

なにかおかしなことが起こっている。

8時間睡眠で12時起床。今日は学校もない。徒歩1分のところにおばあちゃんの家があって、授業がある時はおばあちゃんに毎朝起こしてもらうことになっているのだが、今日は大学がないことを伝え忘れていた。おかげで9時くらいに一度起こされた。うちのインターフォンの音はバカでかいので助かっているよ。本当のこと。で、朝シャンして部屋の掃除して、で、今日はなんと彼女の誕生日でした!ということなので予約していたケーキを取りに行った。今日まじ暑かった。外出て10分かそこらで汗だらだらになってしまって気分が下がる。そんなこんなで15時。彼女と駅で集合した。いつもは外でご飯を食べるが今日はパンを買って家で食べることにした。家に着いた。寝た。彼女が寝た。いや、わかるんだ。だって彼女は仕事で疲れてるし、昨日は色々あって3時間しか寝てないらしいし。でもさ、毎回寝てるんだ。1時間くらいはガチ寝しててさ、いや、添い寝とかしてるから別にその点俺にとっても全く退屈な時間ってわけじゃ……でもその時間俺一人でYouTube見てるからな、本当はさみしいし退屈。てか、こうも毎回寝られると俺と本当に遊びたいの?ってなる。仕方なしに遊んでるんじゃないかって、やっぱりおもってしまう。彼女は年上で結婚を気にしてる。俺もそれを承知で付き合ったけど、当初彼女がなんて言ってたか。「他に愛してくれる人がいないから」ってさ。それ聞いたときはさ、さすがになんかショックだったよね。今でもそれをずっとひきずってる。最近は自発的にどこ行きたいとか自分から手つないでくるとか、そういうのがあったけどさ。やっぱその発言のせいで、結婚のために辛抱してるんじゃないか、そう思わざるを得ない。きっとこれからも、もし彼女が心の底から俺を好きになっていったとしても、それを信じられることはきっともうない。だから今日も目の前で、しかも今日は2時間も爆睡されて、なんか、もうどうでもいいんだって思った。プレゼントもケーキも買ったけど、なんかもうどうでもいいんだって思った。起きてきた彼女は元気そうに話しかけてきた。ご飯たべよっか、だってさ。俺もきまずいのはいやだから、そうだね、って返した。アニメ一緒に見ながらご飯食べて、流すようにケーキ用意して、食べて、おなかいっぱいだね、って。終電の時間になった。家を出て最寄り駅に向かう。今日はあんま抱き着いてこないんだねって言ってきた。いつもの俺は彼女にべったりしてる。でも今日ばかりはそんな気分じゃなくて。とっさに、誕生日だからかっこつけたかったんだ、なんて意味の分からない言葉を返してあげたよ。改札機をまたいでお互い手を振りあった。俺は踵を返して家に向かう。けど、なんとなく、やるせなくなって、色々と寄り道をして、夜の暗さを浴びてた。やっぱり俺って夜が好きだ。昼なんて明るすぎて歩けたもんじゃない。家に帰って、情けなくシコって、一つ文章を書きしたためて、で今日を終わらす。こんないっぱい書いてるけどさ、実際のとこ、記憶は全く厚みをもっていないんだぜ?一日の記憶ってのは感情の起伏が作り出すもんだと思ってる。どれだけいろんなイベントが起こったって、それを心がとらえなきゃ、それは何もないのと一緒。YouTubeで誰かの撮った「彼女のお誕生日Vlog」を見ているのとなにも変わらないんだ。

なにかおかしいっていうのはさ。さっきまで、つい3時間前まではもうあの子と一緒にいられないなって思ってたんだ。でも今はなんか、別に一緒にいていいんじゃないかとか思ってる。インスタのストーリーに、俺の買ったケーキの写真が上がってた。うれしかったのかなって。……それも誰かへの自慢ってだけなのかな。物事ってのは多面的過ぎて、見ようと思えばすべてネガティブに見れちまうもんだ。だから終わっている。あの言葉を受け取った時点で、私にとっての彼女は、180度回転したのちぐちゃっとつぶれちまったのさ。ぺらっぺらの平面構造に。

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